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【花嫁和装レクチャー】
日本の四季が育んだ伝統色

2017/10/19

私たちの暮らしを取り囲む色彩には日本独自の美しい色名があることを、意外と知らないのではないだろうか。しかし和装を選ぶ時、日本の色はおのずと身近なものになる。少し和の色のことを知っていれば、もっと楽しく和装を選ぶことができるだろう。

未婚女性を象徴する衣裳の色でもある赤。古代の人々にとっては、恵みの太陽、知恵の火、命の血など、生きていくために必要不可欠なものが宿す色だった。だからこそ祝儀の場面にふさわしい色として定着していったのだろう。人の目にもっとも華やかに映る色だったことも晴れ着として好まれた。また、茜や紅花など赤を染め出す天然染料が、高価な上に濃く染めるのに手間がかかったことも、赤の価値を高めたようだ。

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日本では神聖で汚れなき色として特別な存在だった白。死に等しい夜の闇のあとにくる夜明けの白々とした色という感覚もあった。花嫁の白無垢の衣裳は、純潔の象徴であると同時に、実家から婚家へ嫁ぐ女性にとって人生の大きな節目になることから、過去と未来のリセットカラーとして捉えられてもいた。「これからどんな色にも染まります」という決意の無色でもあり、神様の前で結婚を報告するための儀式の色でもある。

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赤と白、ふたつの明るい色の対極にある黒は、陽が暮れるの“クレル”から生まれた暗闇の色だが、中国では「墨に五彩あり」と、黒い墨にはすべての色が含まれていると考えられていた。それゆえに日本でも古くより高貴で厳粛な色として尊ばれたが、今ある礼服の黒は、武家社会の儀式服を受け継いだもの。既婚女性の第一礼装である黒留袖、また男性の紋付羽織袴も、武士が生み出したストイックで折り目正しい儀式の黒の装いなのだ。

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曙色 あけぼのいろ

または東雲色(しののめいろ)。夜明けの空をイメージさせるオレンジがかった赤。枕草子の書き出しである「春はあけぼの・・・」をほうふつとさせるうららかな色でもある。夜明けは日の出につながり、「日の出の勢い」という言葉もあるくらいエネルギーを秘めている。一族のさらなる繁栄を願う結婚式にふさわしい。

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若緑 わかみどり

若葉や新芽の黄緑色。生命力と若々しさを伝える瑞々しい和色は、春から初夏の結婚式に取り入れたい。また、冬でも葉の緑を保つ常緑樹の松は、竹や梅とともに吉祥文様で、いにしえより松の若葉を若緑と表現することも多く、?常磐の松の若緑?となれば、繁栄に繁栄を重ねるという意味にも。

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橙色 だいだいいろ

柑橘類の橙に由来する明るい黄赤色。常緑樹である橙の果実は冬になると色づくが、熟しても落ちず、翌年の夏にはまた緑色を帯びることから、橙の名に「代々栄える」という語呂合わせをして縁起をかつぎ、お正月飾りとしても使われてきた。日本人の肌色に似合う華やかな色は、若い女性の晴れ着の色としても好まれてきた。

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藤色 ふじいろ

または藤紫。優美な花房を揺らす藤の花の淡い青紫色。その揺れる姿は藤波とも表現され、たおやかさを誇る花だが、茎はほかの樹木に絡みつきながらぐんぐん成長する。花とは対照的ともいえる旺盛な生命力も含めて、藤色はおめでたい色といえるだろう。なお紫系の色は、平安時代には殿上人(てんじょうびと)だけに許された高貴な色でもあった。

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 祝いの色

日本の色の文化は、まず中国大陸から伝わってきた。高貴な色、儀式の色などは、古代中国で生まれた自然哲学(五行思想)の影響が大きい。この世のすべては、木・火・土・金・水の五つの元素によって構成されているという考え方で、それを色に置き換えると、青・赤・黄・白・黒。古来、この五色が大切な色と考えられてきた。たとえば飛鳥時代に、聖徳太子が定めた官位制度である冠位十二階の冠の色も、五行思想の色を参考にしている。ただし、外来文化をまるごと取り入れないのも日本らしさだ。自然への畏怖と豊かな色彩風土が根づいた国ゆえに、支配階級の貴族や武士たちも、好みや時代性に合わせて色の力を利用し、賢く使いこなしてきた。婚礼の定番カラーである赤・白・黒は、古代の日本人にとって神聖な色で、しかも五行思想の五色に含まれている。つまり、祭礼には欠かせない最強の三色というわけだ。

 

日本の結婚式No14  原稿/田中敦子 画像協力/友禅丸章