神前結婚式創始
東京大神宮の模擬挙式が
体験できる
フェア取材レポート
東京・飯田橋駅より徒歩5分の地に鎮座する神前結婚式創始の神社、東京大神宮。明治33年、当時の皇太子殿下(のちの大正天皇)と九条節子さまのご成婚の御儀が宮中の歴史において初めて皇居内の賢所(かしこどころ)のご神前でとり行われたことを記念して、東京大神宮では一般の人々に向けた神前結婚式を全国に先駆けて初めて行った。また、伊勢神宮の神々を祀り、結びの働きを司る造化の三神も祀られていることから、都内屈指の縁結び・恋愛のパワースポットとして人気を集めている。

5月27日、鮮やかな紫陽花が咲き誇るなか、東京大神宮マツヤサロンで催された模擬挙式・模擬披露宴を体験できるブライダルフェスタを取材した。

月1回のブライダルフェスタ、花嫁衣裳がお出迎え
ブライダルフェスタは要予約制。会場に着くと各階フロアには和洋さまざまな花嫁衣裳の展示が施されていて、待ち時間の間、各階を見て回るのも楽しい。



受付で誓詞や式次第、アンケートなどがはさまれたボードを受け取ったのち、赤い絨毯の敷かれた親族控室に案内される。ご神体が祀られている拝殿内では一切、写真や動画の撮影、録音は禁止(よって、以下拝殿内画像はすべて東京大神宮提供)。ご神紋の菊の文様が背中に描かれた白い参拝着をスタッフの方から着せていただき、準備が整うまで座って待機する。
格式高い拝殿で行われる本番さながらの模擬挙式

全員揃ったところで手水舎で手を清め、拝殿へ。広く、天井の高い拝殿は少しひんやりとしていて、一歩足を踏み入れると空気が変わる。模擬挙式のため、一部割愛することの説明を受けたあと、神職、巫女や楽人たちに導かれ、新郎新婦と親族が正面から入場する「参進の儀」が行われた。
雅楽の調べに圧倒されていると和太鼓が鳴り響き、一同着席。新郎は羽織袴、新婦は文金高島田のおかつらに綿帽子を被った白無垢姿だ。東京大神宮の挙式は新婦はおかつらなしでは拝殿に入れないため、ブライダルフェスタではかつら体験も実施。実際に角かくしや綿帽子を試し、打掛を羽織ってみた姿を写真に撮って持ち帰ることができるというもの。
全員が着席したところで「修祓」、一同起立して祓いを受けた。神さまの前に立つときは心身共に清らかでならないため、と説明を受ける。その後、三献の盃。金色の銚子から、新郎より新婦へ、新婦より新郎へ、新郎より新婦へと酒が酌み交わされる。

その後、巫女による豊栄の舞、新郎による誓詞奏上、玉串拝礼と続く。玉串拝礼は東京大神宮で受け継がれている中でも最も丁寧な作法を持って行われると説明を受ける。このあと、指輪交換が行われ、新郎新婦は 夫婦となったふたりは元の座には戻らず、神前と向き合う座へ。挙式本番では、この次にかつての伊勢神宮祭主・北白川房子さまから賜った祝婚歌の調べで舞う東京大神宮ならではの「豊寿の舞(とよほぎのまい)」が奉納されるそうなのだが、こちらは「挙式当日でしか舞うことができない」とのこと。

そして新郎新婦の退場。30分ほどの模擬挙式といえど、いつもとは違う厳かな雰囲気に自然と背筋がぴんと伸びる。参加者に感想を聞くと、やはり独特の厳かな雰囲気に感化されたという声が多かった。
約90年の歴史、加賀百万旧前田侯邸で行われる模擬披露宴


拝殿での模擬挙式を終えると、2階の披露宴会場「神路(かみじ)」へ移動。こちらは写真撮影・動画撮影どちらもOK。昭和3年に加賀百万旧前田侯邸を移設した気品ある一室。約90年の歴史がある重厚な木造建築の格天井は見事で、まるで明治時代にタイムスリップしたよう。
部屋には鮮やかな加賀友禅の技巧が施された花嫁のれんが飾られており、オプションで付けることが可能。その花嫁のれんをくぐって、新郎新婦が入場し、高砂へ。

東京大神宮マツヤサロンといえば、ベテランの介添えやスタッフによる「早着替え」に注目。今回は特別に、挙式での白無垢から色打掛に着替える様子も披露された。無論、かんざしも鼈甲から珊瑚や真珠のあしらわれた華やかな色打掛用のものに取り替える。


それを終えると御神酒「白鷹」の鏡開きのパフォーマンスも。レトロクラッシックな雰囲気は、大正ロマン調の黒引振袖などともマッチしそうだ。
マツヤサロン自慢の料理をプチ試食

次に4階へと移動し、白を基調とした洋風の披露宴会場「五十鈴」へ。ワンフロア貸切のエレガントなパーティーにぴったり。

ここではさまざまな婚礼料理の展示が行われており、デザートなどのプチ試食会も実施。


羽織袴姿の新郎と黒引振袖の新婦が登場。髪型も挙式とはうって変わり、ゆるふわのいまどき洋髪スタイルだ。

ケーキ入刀ではなく、だるまが描かれたケーキにチョコレートで目を入れるという演出が披露された。


次にレースが豪華なウエディングドレス姿の新婦が新郎とともに登場。こちらは披露宴では定番のキャンドルの点火を。ふたりがキャンドルに火を灯した瞬間、各テーブルにある花火にも同時に火がつき、会場のあちらこちらから歓声があがった。炎と花火が同時に燃え上がるワンダーフレームと呼ばれる演出だ。


このほか、当日の撮って出しエンドロールも紹介された。

この後、希望者は有料で婚礼料理の試食をすることが可能(要予約)。フレンチや和食など、さまざまな婚礼料理が準備されるなか、マツヤサロンの一番のおすすめは、「東京のお伊勢さま」と呼ばれる東京大神宮らしく、伊勢の食材をふんだんに使った伊勢懐石。伊勢海老や松阪牛、大蛤の吉野仕立て、伊勢穴子の赤飯包みなど、豪華で縁起のよい食材が並ぶのはもちろんのこと、塩や醤油まで伊勢産にこだわる徹底ぶり。




模擬挙式、模擬披露宴を一通り体験してみて最も感心したのは、関わる人たちの圧倒的な安定感だ。スタッフの方に聞くと、数十年勤めている人たちも少なくなく、介添えさんをはじめ、ひとつひとつの動きに落ち着きがあり、安心して委ねられる雰囲気が漂っている。神前結婚式創始の神社で格式高い神前結婚式の後は、ベテランスタッフによる手厚いもてなしでゲストを迎えたい。そんなふたりには、まさにぴったりの会場だ。