相撲の歴史が残る場所で、横綱稀勢の里関刻名奉告祭
2017年6月9日、第72代横綱 稀勢の里関の横綱力士碑刻名報告祭が東京都江東区の富岡八幡宮にて執り行われた。
富岡八幡宮は「江戸勧進相撲発祥の地」とも呼ばれ、境内には、陣幕久五郎が建碑した横綱力士碑が設置されている。 横綱力士碑には歴代の横綱の名前が刻まれており、新しい横綱が誕生すると、相撲協会立ち会いのもと刻名式が執り行われ、新横綱の土俵入りが奉納されるのが習わしとなっている。
この日、晴れ渡った青空の下、新横綱である稀勢の里関はまず刻名奉告祭のために拝殿にあがりご祭神に横綱昇進を報告、その後横綱力士碑へノミを入れ、刻名を終えた。初場所後の横綱昇進から約4カ月半、石碑の前で記念撮影に応じる稀勢の里関は緊張感の中にもほっとした表情を浮かべていた。
刻名を終えた稀勢の里は、太刀持ちに松鳳山、露払いに輝を従え、春場所で使用した鶴と赤富士の描かれた化粧まわしを身に着けて参道へと再度登場、約3000人の見物客が見守る中、力強い雲龍型土俵入りを披露した。四股を踏むごとにあちらこちらから「よいしょー」の掛け声がかかり、境内には観客の声援が大きく響き渡った。
一連の儀式を終え、直会に参加するために稀勢の里関が参道から退場した後も、横綱の栄誉にあやかろうと拝殿や石碑の前には多くの人々が列を作り、普段にも増して神社内は熱気に包まれていた。
富岡八幡宮は常日頃から地元の八幡様として、また挙式やお宮参りなどの家族の晴れの舞台として参拝客が絶えない場所だが、今回の刻名式はさらに地元で執り行われるということで、地域としても盛り上がりを見せていたように思う。「おらが町の神社」として、神社が生活の場に根付いている深川という場所の温かさをまた一つ実感した一日だった。
こんな場所で家族の記念日として挙式を、そんな風に思う人も多かったのではないだろうか。
問い合わせ/冨岡八幡宮