監修記事

Why?「なんで日本人は“日本の結婚式”しないの?」
「いい夫婦の日」特集(3)

国際結婚のカップルが選ぶ、日本の結婚式「神社婚」の魅力

2024.11.09

11月22日の「いい夫婦の日」特集として、異文化の壁を越え、日本の神社で神前式を挙げた2組の国際結婚カップルの素敵な物語をご紹介しました。
 
≫「いい夫婦の日」特集(1)国際結婚カップルに神社婚が大人気の理由【泰介さん&ゾエさん】
≫「いい夫婦の日」特集(2)国際結婚カップルに神社婚が大人気の理由【勇輔さん&イザベラさん】
 
日本の伝統文化が世界的に注目される中、神社での結婚式は、日本人だけでなく、外国人の間でも人気が高まっています。
特に、国際結婚のカップルにとって、神社での神前式は、日本の文化に触れ、ふたりの絆を深める特別な機会として注目を集めています。
では、神社側は国際結婚カップルの結婚式をどのようにとらえているのでしょうか。
今回の2組の国際結婚カップルの神社婚の舞台となった、神奈川県小田原市の報徳二宮神社の宮司さんに、国際結婚カップルの神前式に関する質問を投げかけ、その魅力や課題、そして今後の展望について話を伺いました。

宮司さん教えて!国際結婚と神社婚のこと

宮司さん教えて!国際結婚と神社婚のこと
海外出身のゲストも神社婚の参列は特別な体験ができたと好評の声が多いそう。

神前式の人気の現状と選ばれる理由

Q1:最近、国際結婚のカップルで神前式を選ぶ方が増えていると伺っていますが、宮司様のご体感ではいかがでしょうか?

草山氏:はい、確実に増えています。昨今、国際結婚される方が増加していることと、日本の伝統文化に対する関心が高まっていることが大きな要因だと考えています。
 
Q2:国際結婚のカップルが神前式を選ぶ主な理由は何だとお考えですか?日本の伝統文化への興味、それとも他の理由が大きいのでしょうか?

草山氏:多くの方が言われますが、まず何といっても「ここは日本なんだから、挙式するのであれば、歴史ある日本の神社で。」というシンプルな理由。日本人と、日本の文化に対しての敬意と尊重かと思います。
 
Q3:神前式が国際結婚のカップルに特に魅力的に映る点はどこにあると思われますか?

草山氏:本物志向の方がほとんどなので、日本の神々が祀られる神聖な場所が魅力的に感じられるのではないでしょうか。根本は見た目ではなく本質的なもの。その後に、和装をはじめとする日本の伝統文化に魅力を感じているのだと思います。

神前式の装いは花嫁の正礼装である白無垢に憧れ、希望する外国人花嫁が多いそうです。

神社側の取り組みや対応について

Q4:海外からの参列者が多い場合、どのような多言語対応を行っていますか?

草山氏:原則、神社側は普段通り日本語での対応をしています。必要ある場合は都度ご相談をして通訳の方などに来ていただいています。
 
Q5: 通常の神前式と、国際結婚カップルの神前式で、流れや内容は異なりますか?

草山氏:異なりません。同じです。逆に、異なったり略されたりしていない、“正式”な日本の結婚式であることを強く望んでいらっしゃると感じます。
 
Q6: 着物以外の衣裳や他国の花嫁衣裳でもできますか?また、異なる文化圏の結婚式の要素を取り入れることは可能ですか?

草山氏:衣装や小物については自国の民族衣装などでも構いません。現在行われている神前式次第に、新たに異なる儀式の要素を取り入れることはできません。ご要望があれば、挙式後に行うお庭での歓談や宴などで行っていただきます。
 
Q7: 国際結婚カップルの神前式を執り行う上で、どのような準備が必要ですか?

草山氏:夫婦としての誓いをたてるお気持ちがあれば、国際結婚だからといって、特別な必要はありません。

異なる文化や宗教のカップルでも、自然体で受け入れやすいといわれる日本の婚礼。

文化的な側面と課題について

Q8:異なる文化背景を持つカップルが神前式を行う上で、どのような点に注意すべきでしょうか?

草山氏:「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、お互いの文化や伝統へ敬意を払い、その国のマナーや作法に沿って行うことかと思います。
 
Q9: 異なる宗教を持つカップルが神前式を行うことは可能ですか?その場合、どのような配慮が必要ですか?

草山氏:文化と同様に、お互いの宗教に対して尊敬と理解を持つこと。日本の神道の場合は今でこそ宗教とされていますが、もともとは自然崇拝が根源。八百万神(やおよろずの神)といって、日本人は自然界のあらゆる物に畏敬の念をもって崇拝してきましたので、一神教の宗教に比べ、自然体で受け入れやすいのではと思います。
 
Q10: 今後、国際結婚のカップル向けの結婚式において、神社はどのような役割を果たしていくべきだとお考えですか?

草山氏:おふたりにとっては生涯の心の拠り所の場所となること。また異国の方に向けては、日本古来の伝統や文化や日本人のこころと言われるような精神性を伝える場所として、日本の良さを伝承する役割を果たすべきかと思います。

お話しを伺った宮司さん


報徳二宮神社 宮司 草山 明久さん

編集部より

国際結婚カップル2組の神社婚レポートと、今回の宮司さまのインタビューを通して、国際結婚のカップルにとって、神社での結婚式がいかに特別なものであるか、そして国際化の時代の流れに柔軟に対応しながらも、大切な日本の文化を守り、次世代へと継承することに尽力する神社側の姿勢がよくわかりました。
神聖な場所でふたりの愛を誓うことは、万国共通の普遍の価値であるように思えます。
報徳二宮神社をはじめ、多くの神社が、国際結婚のカップルを温かく迎え入れ、ふたりの門出を祝福してくれています。すべてのカップルの人生において、結婚の誓いは忘れられない瞬間となり、その記憶が「いい夫婦」の礎になることでしょう。

<取材協力>

報徳二宮神社 報徳会館
0465-23-3246
(10:00~18:00 休館日:不定休)
神奈川県小田原市城内8-10
https://www.hotoku.co.jp/

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