【和婚をつくる人々】
和ドレスデザイナー
西川温さん
日本の伝統のすばらしさを花嫁に伝えたい
風格ある美しいきもの柄を生かした斬新で個性的な和ドレスで、花嫁のみならず、国内外からも注目を集める「Atsu Nishikawa」。デザイナーの西川温さんが和ドレスを創作するきっかけとなったのは、ドレスをデザインするなかで感じたという花嫁の和装離れだった。
「海外では自国の文化を大切にし、結婚式には伝統の衣裳を着ます。かつての日本もそうであったはずなのに、最近は日本の伝統や文化をよく知らないという日本人も多く、逆に外国人のほうが詳しいなんてこともありますよね。」
そこでドレスに日本の伝統をのせて発信、自分で楽に着られて今の花嫁の感性にマッチする和ドレスを完成させたAtsu Nishikawa。昨年には、西川さんが尊敬する本手描友禅作家の秋山章氏へのアプローチで実現した、本手描友禅を使用した和ドレスの制作も決まった。そこには、日本の伝統を守り、継承していきたいという西川さんの熱い思いが込められている。
ウエディングを起点に日本を世界へ発信
2013年に名古屋に続く2店舗目となるサロンを、東京・恵比寿にオープン。2016年3月には恵比寿サロンを広尾1丁目に移転し、新たなスタートを切ったばかりだ。秋山氏がAtsu Nishikawaのためだけに描き下ろした反物を使用した30着以上の和ドレスに、20着以上の秋山氏の本手描友禅と、より和に重きを置いたラインアップで花嫁を迎えている。
「和が好きな花嫁、秋山先生のうちかけが着たいという花嫁がAtsuNishikawaに来たいと思ってほしい。東京オリンピックが開催される2020年には、和ドレスのコレクション開催を計画しています。パーティドレスとしても人気の和ドレスで、日本の伝統の素晴らしさを世界中に伝えていきたいと思っています。」
「日本だけの、日本だからこそ叶う、結婚式のスタイルを確立したい」と話す西川さんの快活な笑顔には、心をこめてものづくりをする和の伝道師としての強い決意が感じられた。
撮影:平賀正明
初出:「日本の結婚式」No.21