一生に一度の挙式は憧れの十二単で、
そんな希望を叶えたいなら
一生に一度の挙式は憧れの十二単で、そんな希望を叶えたいなら
十二単に憧れる女性は多いだろう。平安時代の10世紀から始まる歴史的な女性の衣装というだけでなく、源氏物語や平家物語で出てくる姫君の雅な描写やドラマ、皇室や女性芸能人の結婚式の報道など、目にする機会は思っているよりも多い。けれども和装が好きという人でもなかなか実際に体験するのが難しい、それも十二単という衣装の特殊さにあると思う。
そもそも十二単というのは通称で、現在では正式には「五衣唐衣裳」と呼ぶ。「平家物語」の異本『源平盛衰記』の中の一文「弥生の末の事なれば、藤がさねの十二単の御衣を召され」とある言葉の意味を取り違えられて広まったという説が有力だ。
もともとは部屋を与えられた女房(朝廷や貴族などに仕えた女性使用人)の正装のことだったため、昔は「女房装束」「唐衣裳」とも呼ばれていた。当初は寒さ対策もあり自由に多く重ねていた衣装も、室町時代に五枚が通常となり、それ以後「五衣」とつけるようになったそうだ。
十二単といえば、美しく重ねられた衣装の色目が特徴だが、この色の組み合わせを「かさね」(襲・重)と呼び、それぞれ固有の呼び名をつけ、着用の季節や行事も厳密に定められていたという。一例をあげれば、儀式などで着る「紅梅の匂」「松重」、春に用いる「花山吹」「紫の匂」、夏であれば「若菖蒲」「白撫子」など、文字を見るだけでも心浮きたつ。「紅梅の匂」であれば濃紅~〜淡紅〜紫がかった薄ピンクのグラデーション、「松重」であれば萌黄(黄緑)の色合いを重ねていき松の葉と幹を表現するなど、知れば知るほど日本古来の文化の豊かさに感動してしまうことだろう。
和婚に興味を持つ人が増えている今、この十二単を、実際に自分の挙式で纏ってみたいという希望も増えてきている。しかし、十二単を準備している場所はまだ少ないうえに、長く裾を引きずる十二単という衣装は、着物の裾を自分で持って動くこともできないだけにどうしても挙式する場も限られてしまう。着付けなどまで考えると、やりたいと望んでも考えなくてはいけないことがまだまだ多い。
もちろん、本格的な神前式でと望むのであれば、嘉ノ雅茗渓館からも近い湯島天満宮(湯島天神)や七社神社、靖国神社といった神社で十二単で挙式をすることも可能。渡り廊下を豊かな裾を引きずりながら静々と参進する挙式は、まさに映画のワンシーンのように参列者の目にも映ることだろう。