【大人ウエディング講座】
結婚前にしておきたい10のこと
結婚式まで指折り数えるあいだ、できれば有意義に素敵に過ごしたいもの。誰よりもふたりの結婚を喜んでほしい両親や家族のためにできること。輝く花嫁になるためには何が必要か。
ふたりで話し合うべき将来設計についてなど、花嫁が挙式当日までにしておきたい事柄をご紹介。ウエディングプランナーの岡村奈奈さんに聞いてみた。
<親孝行編>其の壱 家族との思い出づくりをしよう
子どもが大人になるに連れ、家族そろって過ごす時間や一緒に写真を撮る機会は減ってくる。そこで、結婚前にはぜひ、家族で記念撮影して素敵な思い出を残したい。撮った写真はウエルカムボードやスライドショーにして結婚式当日にゲストに披露したり、写真立てに入れて両親へのプレゼントにしたり、心温まる演出にもなりそう。
親と旅行するチャンスはあまりない。感謝の気持ちを込めて家族旅行を計画し、皆でゆっくり過ごすのもいい記念に。
初宮参りや 七五三で参拝した神社に家族みんなで足を運んだり、お正月なら初詣に行くなど、お金をかけずにできることもたくさんある。 以前に家族でよくしていたことを思い出しながらやってみることで懐かしい記憶もよみがえり、家族の絆や両親への感謝の気持ちがより強まるなど、プラスαの効果も。
親に準備を手伝ってもらうなら
持ち物を貸してもらう
花嫁の幸せのジンクス「サムシングフォー」にちなみ、パールのネックレスなどの花嫁小物を貸してもらえば>、絆も深まる。
挙式&披露宴小物の手作り
リングピローやウェルカムボードなど、親の得意分野を生かせるものをお願いするのも○。市販のキットを利用して一緒に作るのもおすすめ。
ペーパーアイテムの作成
パソコンが得意なお父さんなら招待状や席札、席次表の印刷を。字がきれいなお母さんなら宛名書きをお願いしてみよう。
<親孝行編>其の二 親に挨拶をしておこう
結婚式の朝「今までお世話になりました」と親に挨拶するシーンに憧れている花嫁も多いのでは?
しかし当日は思いのほか慌ただしく、結局、時間がとれなかったという話も。できれば前日までに家族とゆっくり過ごす時間をつくり、感謝の気持ちを伝えるようにしたい。まだ気持ちに余裕がある挙式の2,3ヶ月前くらいにきちんと挨拶をしよう。
結婚式の準備も、ふたりだけで勝手に進めるのではなく、お互いの親に相談・報告する姿勢が大切。それが親に喜んでもらえる結婚式への第一歩となる。
<親孝行編>其の三 昔の写真を整理しよう
披露宴でふたりのプロフィールを紹介する映像演出や思い出の写真を使ったウエルカムボード展示をするなら、ぜひ両親に手伝ってもらいながら写真を整理しよう。彼は彼女の家で、彼女は彼の家で、お互いの親と一緒にアルバムを見返せば、相手の子ども時代のエピソードを聞けるかも。親は本人が忘れているようなことも覚えているものなので、思い出話はつきないはず。
相手の親が子どもをどう思っているかを知ることで、今後おつきあいしていくためのヒントにも。ふたりにとっても、お互いのことをより深く知る機会といえそうだ。
<結婚式の予行編>其の四 笑顔の練習をしよう
結婚式当日だけ美しい笑顔やポーズで臨もうと思っても、案外うまくいかないもの。普段から鏡の前で笑顔の練習をしておこう。インターネットなどで自然な笑顔をつくるためのエクササイズなどが紹介されているので、参考にするのも方法。
また結婚式ではゲストが注目するなかでおじぎをするシーンも多い。首だけ突き出したり、ペコペコと何度も頭を下げたりするのはあまり美しくない。挨拶やお見送りのときは、15度程度を目安に腰から真っ直ぐに上体を倒すのがきれいなおじぎのコツ。表情や身のこなしに気を配るだけでぐんと優雅な印象になるので、挙式や披露宴での自分をイメージしながら、どんなふうにしたら美しく見えるかを鏡の前で研究してみて。
<結婚式の予行編>其の五 エスコートに慣れておこう
並んで歩くときは腕をしっかり「組む」というより、新郎のひじに軽く添えるくらいがきれいに見える。立ち姿で意識したいのは、ふたり一組で美しいかどうか。ポイントなるのは、「位置と姿勢」"ハ"の字になるように、新郎の肩の後ろに新婦の肩を入れてやや内側を向く。これで自然に寄り添う形になり、美しいと同時に仲睦まじく見える。
歩くときは、新郎が半歩先を歩いてリードするといい。気をつけたいのは、歩くスピード。歩幅を小さめにして、いつもよりスローペースを心がけて。実際に腕を組んで歩いてみて第三者にチェックしてもらおう。「特に男性は、練習が必要と思っていないことが多いので、ぜひ彼を誘って一度実践してみてください」
<ビューティ編>其の六 髪のお手入れをしよう
美しい花嫁姿をかなえるためには、普段のケアの積み重ねが大切。一般的に3ヵ月くらい前からブライダルエステに通う花嫁が多いよう。内容や料金はサロンによってさまざまで、基本となるのはフエイシャルとボディケアだが、うっかり忘れがちなのがへアケア。パサパサに傷んだ髪では、どんな素敵なへアアレンジも決まらない。
ブライダルエステとは、すべてをプロに任せることではない。結婚式当日に輝いている理想の自分を具体的に思い描いて、現時点で足りないことをひとつずつ足し算していくような気持ちで、自分でできる範囲のお手入れを施してみよう。大好きな彼に一番きれいな姿を見せてあげられると思えば、モチベーシヨンも上がるもの。何より一生に一度、「花嫁」と呼ばれる自分の身体を自分で可愛がってあげることで、心まで自然と美しくなれそうだ。
<ビューティ編>其の七 ネイルケアを意識しよう
指輪交換やケーキカット、キャンドルサービスなど、結婚式では自分で思っている以上に手や指先を見られる機会が多い。手や指先を美しくケアしている花嫁は清潔感があり、好印象を与える。ネイルケアをサロンでお願いする場合も、指先や爪のケアは自宅で入念にやっておきたい。ネイルケアをすると爪が健康になり、艶も出てくるので、ネイルアートやカラーがいっそう引き立ち持ちもよくなる。さらにケアを続けることで、指先はもちろん、手全体の仕草も自然とエレガントになるはず。
ついおろそかになりがちなのが、手の紫外線対策。外出時には手指にも日焼け止めクリームを塗るなど、デイリーケアを忘れずに。
<ふたりの絆編>其の八 プロポーズの機会をつくろう
はっきりとしたプロポーズなしで、結婚の準備に入るカップルは実際に増えているそう。ただ、男性としては「あのときのあの言葉がプロポーズだったんだけど…」と、意を決してプロポーズした"つもり"になっていることも。
女性としては「もっとはっきり言ってほしかった」など、男性と女性では「プロポーズ」の定義が違っていることがある。プロポーズのシーンへの憧れをもつ女性なら、素直に「記念になるような言葉が欲しい」と伝えてみてもいいのでは? 「プロポーズされてないんだけど!」などと喧嘩ごしにならないように気をつけて。もちろん「プロポーズの言葉があるかどうかが必ずしも愛の深さをはかるものではないはず。それより、将来のビジョンをお互いに共有できているかどうかが大事です」。
結婚はゴールではなく、ふたりが新しい家族としてスタートする出発点でもある。そして結婚式の準備は、ふたりの初めての共同作業。力を合わせてやり遂げることでふたりの絆や信頼もいっそう深まるはずだ。
<彼とふたりで仲よく準備するコツ>
結婚式の準備を進めていく上でよく聞くのが「彼が準備を手伝ってくれない!」という花嫁の不満の声。
「結婚式は花嫁のためのもの」と思っている男性は多いので、あえて口出しせず彼女の好きにさせてあげようとする思いやりからくる行動という可能性も。花嫁もお願いの仕方にちょっと知恵を働かせてみて。
まずは彼の得意分野や好きなことから協力してもらおう。手先が器用な彼ならペーパーアイテムの製作、音楽が好きならBGMの選曲といった具合に。彼だって「さすが!」と褒められれば悪い気はしないだろう。
<ふたりの絆編>其の九 夫婦の約束を考えておこう
結婚式が終わるとホッと気がゆるみがちだが、その日はふたりの新しい人生のスタートでもある。「これから結婚するふたりにもっともおすすめなのは、ふたりきりになったところで、これからの生活でお互いに約束することを改めて伝え合うこと」。その後の結婚生活のなかで喧嘩や不満が生じたとき、このときの約束を思い出して初心にかえることできっと乗り越えられるはず。また、今後の家計についても事前に話合っておくといい。結婚すると今まで別々だった財布がひとつになる。
最初にしたいのは、現在の収入と貯蓄の確認。結婚式の費用分担にもこの情報は欠かせない。そして結婚後の生活費をどうするか。共働きの場合、子どもができたときに仕事はどうするのかといったことも話し合っておきたい。「堅苦しい契約を交わすのではなく、マイホームはどうするのか、いつ頃子どもがほしいかなど、将来の生活設計や目標について、ふたりで一緒に楽しく話し合えればベターです」。一緒に生活していくなかで不溝をつくらないためにも、結婚前からしっかり話し合っておくのが円満な結婚生活の秘訣といえる。
<ふたりの絆編>其の十 体調管理を忘れずに
結婚式当日に体調不良では、思いきり楽しめません。時期によってはインフルエンザの予防接種をするなど、体調管理には万全を期して。バランスのとれた食事や十分な睡眠は健康を保つだけでなくスキンケアやボディケアにもつながるので、規則正しい生活を心がけたいもの。挙式の時間が早い場合は、少し前から早寝早起きの習慣をつけておこう。ストレスも美容の大敵。親しい友人とおしゃべりしたり旅行に出かけたりと、ときには気分転換を。
お気に入りの香りのアロマパスにゆっくり浸かるのも気分をリフレッシュしてくれるのでおすすめ。
「ただ、どんなに気をつけていても、生理の周期にぷつかってしまったり、緊張のあまり普段と違う状態になることも。そんなときは遠慮せずに会場担当者に伝えましょう。もしかしたら妊娠の可能性があるとか実はお手洗いが近いとか、どんな小さなことでも構いません。あらかじめ知っていれば会場側も最善のフォローができます」。
初出:「日本の結婚式」No.7
取材・文/渡辺公子
イラスト/辻ヒロミ
2023年10月一部改訂