【伝統文化】
どこが違うの?神社とお寺
なんとなくは知っているけど、よくわからないのが神社とお寺。
ともに結婚式を挙げることができる、このふたつの違いをみてみよう。
神様をまつっているのが「神社」
日本では太古から「あらゆるものに神が宿る」と考えてきた。天照大御神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする神々をおまつりしてるのが「神社」だ。
仏様をまつっているのが「お寺」
西暦6世紀になると、大陸から日本に仏教が伝来する。仏教ではお釈迦様(仏陀)や菩薩などの仏様を大事にして手を合わせているが、そのの施設が「お寺」。神様はもとから神様なのに対し、仏教は「悟りをひらいた人=仏陀(ブッダ)」を開祖としている。
鳥居があれば「神社」
地図のマークにもなっているように、鳥居は神社の目印。石や白木の鳥居もあるが、朱に塗られた鳥居は遠くからでもそこに神社があるとわかる。
お寺の入り口は「山門」
それに対して、お寺の入り口となるのは山門と呼ばれる立派な門。
ただし、この区別も100%ではない。明治時代になるまで、神社とお寺は今ほどはっきり区別されていなかった。神社もお寺も歴史が古い。そのため、建築物に江戸時代までのものも多く残されている。数は少ないが、鳥居を残したお寺もあるし、神社には山門とよく似た神門・楼門と呼ばれる立派な門が設置されたところも多い。
神社の正式な参拝であげるのは「祝詞」
神社の正式参拝などでは神職さんによって「祝詞(のりと)」があげられる。
祝詞は神様との間で交わされる言葉。使われているのは日本の古い大和言葉だ。古くは神様からのお言葉だったが、今は人々から神様への感謝、祈願などが織り込まれたものが中心になっている。
お寺の法要であげるのは「お経」
お寺の法要などでお坊さんによってあげられるのは「お経」。お経の多くは仏様の教え。お釈迦様が生まれた国などで作られ、中国経由で日本に入ってきた。なので、日本語ではないものが多い。祝詞は参拝者が一緒に唱えることは少ないが、お経はお坊さんと一緒に唱えることも多い。
神社の「ご神体」は本殿の奥深く
神社とお寺の大きな違いのひとつは、手を合わせる対象が見えるところにあるか、ないか。
神社では、目にふれる場所に神霊が宿るご神体はない。社殿の奥に位置する本殿に安置されている。ご神体は一般的に鏡や剣、玉などが多いといわれるが、参拝者が直接目にすることはない。また、神社によっては本殿がなく、社殿背後の神聖な山がご神体となっているところもある。
お寺の「仏像」は本堂の見えるところ
お寺に行くと、本堂にはご本尊をはじめとする仏像がまつられている。参拝者はそこに仏様を感じて手を合わせる。
ご祭神が同じでも「個々に独立」した神社
「稲荷神社」「八幡神社」など、同じ名前をもつ神社は全国各地にある。これらは同じ神様(ご祭神)をおまつりしている。そのご祭神に対する信仰がはじまったおおもとの神社を「総本社」などといったりするが、神社間につながりはなく、それぞれが独立している。
「宗派」というグループがあるお寺
これに対して、お寺の場合は「宗派」がある。天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗、浄土宗、浄土真宗などの名称を聞いたことがあるかもしれない。それぞれの宗派には「総本山」などの中心となる寺院があり、宗派内のつながりもある。またともに、宗派ごとの開祖とする高僧を敬っている。
神社の神様には「二拝二拍手一拝」
神社もお寺もそれぞれに参拝の作法がある。神社の作法は「二拝二拍手一拝」。「拝」は深いお辞儀のこと。この拝を2回行い、感謝の気持ちで手を合わせて2回拍手を。そして最後にあらためて拝を1回。お願い事がある場合は、この後に再び手を合わせてゆっくりと行う。おのずとその後にも頭を垂れる気持ちになるはずだ。
お寺の仏様には静かに「合掌」
お寺の参拝では、拍手は行わない。両手を合わせる「合掌」のみとされる。ただし仏様に向かうのだから、祈念の前後にはお辞儀を。合掌の形で、心深く念じたい。また、本堂の中で参拝するときはご焼香することもある。