【伝統文化】
いにしえより続く 神社の
一年のお祭り
日本の神様をおまつりする神社では、年間、数多くの「お祭り」が行われている。
恒例で行われている神社の重要なお祭りの一部について紹介しよう。
例祭(れいさい)
個々の神社にとって年に一度の特別なお祭り
各神社ではそれぞれにご祭神とする神様をまつっている。例祭はそのご祭神や神社にとって特別な由来がある日のお祭り。ひらたく「神社のお誕生日」などとも説明される。特別な日なので例大祭・大祭とも称され、祈年祭・新嘗祭と合わせて神社の三大祭祀(さいし)のひとつとされている。例祭の規模や様子は神社によって異なるが、よく見られるのはご祭神をお神輿に乗せて地域を練り歩く神事だろう。境内では神楽の奉納などが行われたり、露店が立ち並んだりと、社殿で行われる厳かな祭祀以外に、氏子や一般参拝者が参加できる、年間でも最大のお祭りとなることが多い。
祈年祭(きねんさい)・新嘗祭(にいなめさい)
稲作を中心とした暮らしの豊かな一年を祈念・感謝する
長く稲作を中心とした暮らしを行ってきた日本では、今も稲作に関連した恒例祭が行われている。稲作の始まる前、2月に行われる祈年祭では、その一年の豊饒を祈願。ちなみに「年」は「稔(みのる)」、その年の穀物がみのることを意味する。
祈年祭と対になるお祭りが、11月の新嘗祭。「しんじょうさい」とも呼ばれる。一般的には秋祭りとも呼ばれ、その年の収穫を感謝して神様に新穀を捧げるお祭りだ。生活形態が大きく変化した現代でも、日本人にとって稲作が重要なことは変わらない。このふたつは、つつがない暮らしを祈り、神様に感謝する重要な恒例祭だ。
大祓(おおはらえ)
心身にたまった罪・穢れを 半年に一度、祓い清める
日本では古くから、日々暮らしているだけで、人は目に見えない罪・穢(けが)れを心身にまとってしまうと考えてきた。罪・穢れは災いや病のもと。そこで太古より、これらを祓う神事が半年に一度、6月と12月に行われてきた。6月は「夏越(なご)しの祓」、12月は「年越しの祓」などとも呼ばれる。神社ではそれぞれの月初めから、心身の罪・穢れを移す形代(かたしろ)が配られ、境内には身を清める茅の輪が設置されるところもある。6月、12月とも月末に大祓のための祝詞を奏上する大祓神事が行われ、参拝者から納められた形代をお焚上などし、祓い清めが行われる。
歳旦祭(さいたんさい)
新しい年・月・日を祝い 一年の平安と繁栄を祈る
別名・元旦祭とも呼ばれる新年のお祭り。「元旦」は年・月・日の3つが新しくよみがえる特別なとき。迎えた新年を寿(ことほ)ぎ、この一年のために祈りを捧げる。歳旦祭はもともと宮中で行われる年始の祭典で、現在では各地の神社でも行われている。ちなみに「旦」は水平線から朝日が昇る様子を表した文字。つまり、元旦は1月1日の早朝を意味している。神社では歳旦祭を早朝に行うところや、大晦日から日付の変わった深夜に行っているところもある。いずれにしろ、歳旦祭の頃より、各地の神社は初詣の参拝者で賑わい始める。
神様を待ち望む気持ちが「まつり」のはじまり
神社の「お祭り」というと、お神輿の行列や金魚すくいなどの露店をまず思い浮かべるだろう。こうした賑やかなお祭りだけでなく、神社では社殿のなかで年間いくつもの厳かな「お祭り」が執り行われている。
「祭(まつり)」の言葉は「まつろう」「奉る(たてまつる)」という語と関係が深い。神様がその力を発揮してくださるよう、奉仕する。食べ物や祈りを捧げる。これらを意味する。さらには、神様が降臨し、目に見えないその力を発揮してくださるのを「待つ」という意味もあるとされる。お祭りには毎年決まった日に行われる恒例祭だけでなく、数年おきに行われるものなどもある。
神社では年間数多くのこうしたお祭りの合間に、個人の結婚式や参拝者のさまざまな祈願などを受けているのだ。
※恒例祭は神社によって内容・日程など異なっている。