【連載企画 第1回】
アートディレクター・ワキリエによる「日本のデザイン」余白
(写真右)吉帖KIRA 記念日手帳
家族やお友達など、大切な人の記念日などを書き込んで置ける蛇腹タイプの手帳「吉帖KIRA」。誕生花や誕生色なども記載されているので、大切な人の贈り物を選ぶ際の参考に。お祝いやお返しの贈答品として使える桐箱入りもあり。
(写真左)小さなメモ帳「まめも」
多くの商品の中でも特に大人気なのが手のひらサイズの小さなメモ帳「まめも」。たっぷり200枚綴りで、価格も各380円とお手頃。全部で29種類あり、小さな便せんとしても使え、ちょっとした贈り物にも喜ばれます。
アートディレクターワキリエ
100年後みても美しいデザインをモットーにウエディング、カルチャー、ライフスタイルを中心に様々なクリエイティブを手掛ける。著書に「ボタニカルウエディング&デザイン」「スマイルウエディング」など多数。社団法人国際婚礼文化協会(IBCA)代表理事も務める。
余白をデザインしているものこそ、日本の美を感じる
職業柄いろいろなデザインに出会うことが多いのだけど、実は凝ったデザインはあまり好きではないです。「いいなぁ、素敵だなぁ」と思うのは、デザインしているようでデザインの存在感のないものばかりで、引き算のデザインというか、余白をデザインしているように感じるものこそ、わたしは日本の美を感じます。
こんな風に話すと、「え?」と驚かれることもあるのだけど、書道でも茶道でも華道でも香道でも、今から何百年も前に誕生して、いまだ脈々と残る日本文化は余白や余韻を楽しむものばかりです。結局のところ、よいデザインというのは流行りではなく、百年後に見ても素敵と思えるもので、そのためには「余白」がとても大事。いろいろ考えを巡らせてみては、結局いつもそこに行きつきます。
京都の文具屋さん「裏具」はまさにそんな「余白」を楽しめるデザイン・アイテムの宝庫。手頃でかわいい文具が店内にところ狭しと並んでいます。ちょっとわかりにくい場所にあるけれど、行くだけの価値はある、とても素敵な空間です。
「裏具」という屋号は「嬉(うら)ぐ」というコトバの意味と音を含むそう。誰もが持っている嬉しい気持ちを大切なひとに伝えたい、贈りたいという気持ち。それをつなぐ裏方道具を創ってゆきたいという思いを込めて、この屋号に決めたそう。こうして2006年、京都の花街、宮川町に誕生した「裏具」は、数ある文具のなかでも「書く」道具を主に取り扱っています。物事の裏や、目に見えないモノを想像する力をなくさないでほしい。上手くなくてもいい。たった五文字でも手書きの文字のチカラは強いです。その文字を見ると送ったひとの心や様子が伝わってきます。そんな手紙を通して伝わるひとからひとへのぬくもりを、もっと多くのひとたちに知ってほしいそうです。
ご店主は、元グラフィックデザイナーで、日本の伝統文様を上手に生かして、モダンに蘇らせる名手。どちらかというとシンプルで庶民的な柄なのに、柄の切り取り方や色の組み合わせ方が斬新で美しいです。手の中におさまるほどの小さなアイテムでも、隅々までじっくりと眺めていると、余白の美しさが際立つ和柄モダンの魅力に吸い込まれそうになります。