お役立ち知識

【連載企画 第2回】
アートディレクター・ワキリエによる
「日本のデザイン」刻を刻む

2021.04.26

昔ながらの生型鋳造を行い、一つひとつ職人が手作業で仕上げた錫の片口とぐい呑。柔らかく手馴染みのよい錫器で飲めば、お気に入りのお酒もさらにおいしく飲めそう。

【能作】
1合分のお酒が入る片口-中 ¥6,050(税込)
干支ぐい呑 各1個 ¥3,850(税込)

アートディレクターワキリエ

  • ワキリエ

株式会社スマイルD.C. 代表。100年後みても美しいデザインをモットーにウエディング、カルチャー、ライフスタイルを中心に様々なクリエイティブを手掛ける。著書に「ボタニカルウエディング&デザイン」「スマイルウエディング」など多数。社団法人国際婚礼文化協会(IBCA)代表理事も務め、日本の文化伝統継承活動も行う。

干支の動物をあしらった、錫100%のぐい呑

日本語というのは不思議なもので、季も刻も時もすべて「とき」と読みます。ただ、その意味は少しずつ違っていて、「季」はその文字からもわかるように季節をひとくくりにしたような長い時間の流れを表します。「刻」は近代以前の中国や日本などで用いられた、1日をおよそ2時間ずつの12の時辰(じしん)に分ける時法を用いていた頃の時間の単位。「時」は今使われている時間の単位です。こうして見ると、実は「時」が浸透するよりもずっと以前から、私たち日本人のDNAのなかには、もっとゆったりとした気持ちで時の流れを恋い慕う「季」や「刻」の体内時計の針が回っていて、年中行事や通過儀礼がいまだ意味を成しているのは、そういうところからきているような気もします。

「より能(よ)い鋳物をより能(よ)く作る」を理念に、江戸時代から続く鋳造技術を今に伝える富山県高岡市の「能作」。高岡で伝統的に用いられている「生型鋳造法」は、少量の水分と粘土を混ぜた鋳物砂を木型の周りに押し固めて鋳型をつくる方法です。

この技術を使ってつくられているのが、底面に干支の動物をあしらった錫100%のぐい呑、「干支ぐい呑」。底面に干支の動物の顔があしらわれていて、その表情が妙にリアル。ひっくり返さないと一番凝った細工を見ることができないというのも、ユーモアに富んだカラクリ好きの日本の職人らしいアイデアといえます。

新しい干支を迎えるごとにコレクションしても良いし、結婚祝いや誕生祝いに生まれ年の干支のぐい呑を贈るのも素敵。普通の平盃でお正月を迎えるのも良いけれど、せっかく家族や親戚が集まるのなら、干支ぐい吞でお屠蘇を用意して、団らんの肴にすると楽しめます。聞くところによると、錫は錆びにくく朽ちにくいため縁起が良いとされ、錫器はお祝い事や縁起担ぎにはぴったり。

また、「錫の器に入れた水は腐らない」、「お酒の雑味が抜けてまろやかになる」などといわれ、錫は古来より酒器や茶器などに用いられてきた金属なのだそうです。そんな実用性と芸術性を兼ね備えた日本のデザインに「乾杯」!

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