お役立ち知識

【連載企画 第3回】
アートディレクター・ワキリエによる
「日本のデザイン」美意識

2021.06.07
写真:岡本譲治

アートディレクターワキリエ

  • ワキリエ

100年後みても美しいデザインをモットーにウエディング、カルチャー、ライフスタイルを中心に様々なクリエイティブを手掛ける。著書に「ボタニカルウエディング&デザイン」「スマイルウエディング」など多数。社団法人国際婚礼文化協会(IBCA)代表理事も務め、日本の文化伝統継承活動も行う。

自然に寄り添って生まれる「美意識」

日本の美意識の原点は、自然にあると思います。美しさを受容し創造する時の心の働きを美意識とするならば、長い年月を経て海外文化を取り込み、独自に育み再構成される美意識には、日本人が自然と寄り添い生きていることが大きく影響しています。

“ナチュラル”という言葉の捉え方をみると、海外では、“未開発”という意味を持ちますが、日本では“ありのまま”や“生まれながら”であったり、良いものとして受け入れられ独自の感性を築いてきました。それは農耕民族として太陽と大地を八百万の神として崇め愛でてきた歴史に由来すると思います。春に木々が芽吹き花をつけ、夏には青々と目に眩しく、秋は紅葉のさまざまな色の氾濫のなかに身を置き、冬には真っ白な世界へとリセット。古来より繰り返される春夏秋冬、四季のリズムにより、日本人の色の認識幅は自ずと磨かれています。

茶道家千利休の教えで有名な七則のひとつに、「花は野にあるように生け」という言葉があります。客を迎える時、床の間に飾る花の見せ方をありのまま生けよということではなく、本質を追求した美意識を客に伝え、メッセージを込めて、その形を伝えているのです。

豊臣秀吉に利休が用意した設えとして、庭の朝顔を全て切り取り、茶室に一輪の朝顔を生け、迎えたエピソードがあります。朝顔を楽しみに来訪した秀吉は落胆しましたが、あえて一輪
の朝顔を飾り究極の美意識を伝えた利休に敬服。過剰な装飾を削ぎ落とすことで、魅力がより際立つことを教えてくれます。

私がデザインする時も、要件定義の指標に削ぎ落とすことが大きなポイントとなっています。フラワーアーティストと仕事を共にすることが多く、今回紹介する蔦谷剛光氏の活ける作品には「いけばな」のエッセンスを感じます。日本では古代の信仰アミニズム(自然崇拝)から、植物を立てて神様を招く依り代(よりしろ)とした説があります。室町時代中期頃から「いけばな」が盛んになり各流派が派生、江戸時代中頃に家元・宗家などにより拡大したそうです。

昨今の自粛状況下のなか、自宅にいる時間が長く続いています。部屋に植物があることで心が整うことを経験し、“これこそが日本人の美意識”だと腑に落ちることでしょう。

フラワーアーティスト蔦谷 剛光

  • 蔦谷 剛光

東京都生まれ。U.GOTO FLORISTにて、帝国ホテル、セルリアンタワー東急ホテルのフローリスト責任者として従事し、その後に渡仏。George Francoisのもとで本場のフレンチスタイルデザインを学ぶ。帰国後、Massa Nakagawa に師事したことにより、さらにアートの次元と可能性を広げた。ハイブランドのデコレーションを中心にファッションショーや撮影ディレクション、ウエディングなどを数多く手掛けた後、Massa & Artists取締役 兼 アートディレクター就任。パレスホテル東京のオリジナルブランド「MUKU」のデザイン監修やフローリスト育成を行う。2020年4月より独立してTSUTAYA DESIGNを設立。

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