結婚式の新しい選び方?!
ふるさとって何だろう?
過去を振り返り、
未来を築くストーリー
子供のころは何が好きだった?
どんな通学路を歩いて学校に通っていたの?
放課後はどんな場所で過ごしたの?
タイムスリップすることが出来るならちょっと見てみたい、これから結婚する人の自分と出会う前の人生。そして、人生を振り返るとしたら、たくさん泣いて、たくさん笑って、たくさん困らせた・・・色々な時期があったけど、いつも惜しみない愛情を注いでくれた両親に感謝をしたい。
「結婚式」という節目に、新郎新婦の過去と現在、そして未来を繋げるために駆けずり回り、言葉、音、映像を創り伝える結婚式場がある。そこから生まれる、感謝、感動、絆・・・。ふたりのストーリーでゲストをおもてなしする「Story of Journey(ストーリー・オブ・ジャーニー)」の魅力に迫ってみた。
ふるさとを辿る時間と空間
Story of Journey(ストーリー・オブ・ジャーニー)とは、八芳園の「FURUSATO LOUNGE」という専用ラウンジにて、披露宴の前に、新郎新婦それぞれがどんな町でうまれたのか、どんな場所で育ってきたのか、といったルーツを辿った映像を流すこと。八芳園スタッフが日本全国新郎新婦のふるさとの地を訪ね、制作をする。大迫力の大型モニターに映る映像は、親族には懐かしく、ゲストには新たな発見があり、数分間ではあるが、映画を1本見終わったような感動と、新しい家族・仲間となる人を愛おしく思え、温かな気持ちが生まれるものとなっている。
みかんの木とりんごの木の物語
奈川県の自然豊かな街で育った少年は、かけっこはいつも1等賞、活発でいたずら好き。小さな頃からお父さんとたくさん外で遊び、小学生になると友達と缶けりをして公園を駆け回り、神社には秘密基地や落とし穴を作り、毎日ワクワクたくさん笑って過ごしていた。
家の近くにあったみかん畑にときどき忍び込んでは、甘酸っぱいみかんをほお張っていた少年が、今日の新郎。
そして・・・
山形県のりんご農園の家に生まれた女の子は、両親、祖父母に愛され、のびのび自由に育った。女の子が生まれたとき、記念に植えた庭の木は、毎年夏には葉を茂らせ、冬になると葉を散らせ、変わらない風景がそこに続いている。数年単位で木を育てるという、りんご農園の仕事に生きる家族の変わらない、変えてはならない日々の積み重ねが、少女の日常であった。
採れたてりんごの美味しさを知る少女。そして、大学生になり実家から離れた際に送られてきたりんごの懐かしい味に、いつもたっぷりの愛情を感じながら成長した女性が本日の新婦。
時を同じくして、みかんの木、りんごの木の下で遊び、成長した男の子と女の子の物語。まったく別の場所ではあるが、自然いっぱいの環境で育ったふたりが、出会い、今日の日があるという奇跡。数分間の映像が流れた「FURUSATO LOUNGE」は、この慶びを実感できる空間となった。
同郷の親族は、自分たちのよく知る景色が、映画のワンシーンのように彩られることに、驚きそして涙ぐむ場面も。ふるさとの、風の音、柔らかな光、映像だからこそ伝わる空気感、映像の中にちりばめられたワードから伝えられるメッセージによって、誰もが時間を越えた旅をした感覚になる。そして、この映像の続きが、披露宴に繋がるのだ。
みかんとりんごのおもてなし
ふたりのふるさとの物語を見終えてからの披露宴は、たいへんアットホームで和やかな雰囲気に。共通の物語が、両家の距離をぐっと縮めたようだ。
そして、披露宴の終盤に物語は最大の盛り上がりを迎えた。フルコースのデザートに振る舞われたのは、「新婦出身地山形県産林檎のコンポートを添えたクレームダンジュ、新郎想い出のみかんのソースを添えて」という一品。
それぞれのふるさとの「みかん」と「りんご」がひとつとなったメニューだ。結婚を祝い、新しい家庭の出発の宴にふさわしい、両家の絆を繋ぐデザートである。親戚の方から、八芳園スタッフに「これどうやって作るんですか!レシピ教えてください!」といった声も掛かったとか。
みかんの木、りんごの木の少年少女の物語は、この日ひとつの物語となり、結婚式に参列した人々の記憶にしっかりと刻まれた。
そして、新たなふたりの物語が始まる・・・。
Story of Journeyを創る人々【インタビュー】
今回のStory of Journeyについて、プランニングを担当したブライダルコーディネーター夏目結さん、映像を担当したカメラマン森下勝史さん、デザートを担当した岩崎満博シェフ、そして新郎新婦にも話を聞いた。
ふるさとを辿ること
「今回ご担当させていただいたおふたりは、プロポーズの際に渡した2つのリングが重なったネックレスが八芳園のマークに似ていたというご縁もあり、当館でのご結婚式をご決定いただきました。また、Story of Journeyについてもたいへん楽しみにしてくださり、お打合せの時も、話が尽きることがないほどたくさんお話し下さいました。話している中で、お互いの知らない部分を知ることが出来るのは、ふるさとを辿るというこのプロセスの一番の魅力だと思います。そして、私自身も、様々なエピソードや想いをお伺いする中で、親戚のひとりになったような感覚で、精一杯お手伝いしたい!という気持ちが一層強くなりました」と夏目さん。今回の日本の結婚式の取材に際し、おふたりと連絡を取り合い、電話越しにお子様の泣き声を聞けたこと、「早くお子様にもお会いしたいなー」と嬉しそうに話す姿が印象的だった。
今回、山形県と神奈川県に映像を撮りにいったカメラマンの森下さんは、「単純に画を撮りに行くのではないんですよね」と語る。「その場所を撮るのではなく、そこでどのように過ごしたのか、見ている人をタイムスリップさせるような、シーンを創ろうと心掛けています。撮影に行って、どのシーンを切り抜いてくるかとても考えますし、周りにすごく愛されて育ったことがわかるような映像や文字を繋げることでそれを表現したり・・・」特殊なワイド画面に映し出される数分の中に、人生を切り取るすごい技である。
新郎新婦に、出来上がった映像を見たときの感想を聞いた。「特に絵になる様な場所ではない自宅周辺の映像が、すごく輝いて見えました。こんなに素敵なものになるんだな、って。この映像制作を通して、家族と過ごしてきた時間を振り返ることができました。結婚式では、家族への感謝の気持ちを伝えたいという想いも強くなりました。」
列席されたゲストからの反応は?「披露宴の前にこの映像を見ていただいたことによって、相手の家族のこともわかって、親近感を持って頂けたようです。披露宴もすごくアットホームな雰囲気になりました。」
オリジナルメニュー誕生秘話
クライマックスのデザートを担当した岩崎シェフにも、メニュー誕生の経緯を聞いた。「当初、‘ガトーショコラと山形林檎のキャラメリーゼ、きな粉わらび餅添え‘というメニューを作成しましたが、フルコースをご試食されたおふたりより、量が多いのでは?という懸念があがりました。そこで、直接ご新婦様とお話をさせていただき、改めておふたりの想い出がよく表れている故郷の「みかん」と「りんご」を組み合わせて、かつコースの最後までゲストの皆様に楽しんでいただけるような、そんなデザートにするべく試行錯誤を重ねました。そして、こだわりの食材がより活きるように、素材感や食感を残すような調理法を取り入れました。そしてメニュー名についても何度も打合せを重ね、出来上がったのが、「新婦出身地山形県産林檎のコンポートを添えたクレームダンジュ、新郎想い出のみかんのソースを添えて」です。」
とても熱く語るシェフに仕事に取り組む際の想いも聞いてみた。「何よりもおふたりの想いを汲み取り、おふたりのこだわりがゲストの皆様に伝わるメニュー作りを心掛けております。そのために可能な限りおふたりと直接話をする機会をいただき、実際に会話することを大切にしております。思い入れのあるレシピをお持ちいただく場合も、ただそれを再現するだけではなく「なぜ、このレシピで皆様に振る舞いたいのか?味や見た目のどういった部分に惹かれているのか?」まで理解し、ご期待を越えた提案ができるよう努めております。何度も何度も作り直し、提案を重ね、おふたりはもちろん自分自身が納得するまで一切妥協はしません。それが、私たちのために時間を作ってくださったおふたりに対する責任である、と考えるからです。」
ふたりの「ふるさと」に
最後に、新郎新婦に結婚式を終えてみての感想を聞いた。「八芳園は、本当に素敵な場所で、ロケーションももちろん、たくさんのスタッフの皆さんのサポートに助けられ、私たちの「落ち着く場所」になりました。先日、1周年記念のお食事にも行きましたが、毎年記念日には遊びに行きたいし、次回からは子供も一緒に行けることを楽しみにしています。」
八芳園のそれぞれの担当スタッフのサポートによって創り出される「Story of Journey(ストーリー・オブ・ジャーニー)」。一生に一度の結婚式、1日のその時間のために、多くの準備の時間があり、それは過去を振り返り、未来に繋げる時間となる。毎年多くの夫婦や家族が、結婚式後の記念日の食事やイベントで八芳園を利用しているという。結婚式を挙げた記念の場所が、ここで生まれた家族の「ふるさと」となっているのだ。
結婚式場決定の理由に、「庭の素敵さ」「会場の美しさ」だけではなく、「ふたりの時間により添った一生のお付き合いをするパートナーとしてふさわしいと思ったから」という理由が上がる八芳園の力を、そこに働くスタッフのインタビューから見ることが出来た。
取材・文/ウエディングnavi