渋谷の自宅でお支度。金王八幡宮で挙式
披露宴は1泊2日で伊豆の老舗旅館へ
国際結婚のふたりが叶えた、日本文化が薫る結婚式
アフリカのスーダンで出会い、現在も首都のハルツームに住み、日本とフランスという、まったく異なる背景を持つふたり。結婚式について話し合った結果、きものへの憧れがあったという久絵さん、日本の結婚式に関心を持っていたアドリアンさんの思いが一致し、日本で結婚式を行うことに。久絵さんの実家の氏神様である渋谷の金王八幡宮での挙式を選んだ。
披露宴で大切にしたのは、ゲストにきちんと感謝の気持ちを伝えること。そこで浮かんだのが温泉へ1泊2日の旅をしながらの披露宴。久絵さんの出身地の近くである伊豆の温泉宿をいくつも宿泊し、ふたりが大切にしたいことを確認しながら吟味した結果、地域社会や経済への貢献、歴史・文化の継承、環境への配慮そしてなにより働く人々の魅力に惹かれ、国登録有形文化財の落合楼村上に決めた。
挙式当日は、渋谷の自宅で花嫁支度を整え、スクランブル交差点などでロケーション撮影をした後に神社へ。海外からのゲストも見守る中、厳かに神前式が執り行われた。
挙式後はバスなどに分乗して伊豆へ出発。旅館に到着後は、まずゆっくり温泉に入ってもらい、披露宴は夜6時からスタート。おいしい料理に舌鼓を打ちながら、日本文化と祭りの遊びをテーマにしたアイデアあふれる演出を楽しんだ。
さらに、暖炉のぬくもりに包まれて、アフターパーティも。「準備は大変でしたけれど、ゲスト全員に『ありがとう』の気持ちを伝えられたので満足しています」。歴史ある旅館の空間を舞台に、国籍や世代を超えて笑顔があふれる結婚式となった。
こだわりポイント
1.思い出が詰まった自宅で家族に見守られて花嫁支度
挙式当日は、幼いころの思い出がたくさん詰まった実家で花嫁支度。地元・渋谷の街でロケーション撮影をしてから神社へ。挙式は、小さいころからなじみのある実家近くの金王八幡宮で行った。「結婚式の後も、実家の建て替え時の地鎮祭に結婚式を執り行った神主さんに来てもらったり、お祭りで金王八幡宮の方々とお会いしたいと、地元ならではのお付き合いがつながっていくのがいいですね」と久絵さん。
2.老舗旅館の雰囲気に合わせてアンティーク風の引き振袖に
披露宴では、テーマに合わせてレトロモダンな引き振袖をセレクト。七五三のときのかんざしやお母さんのアクセサリー、フェザーなども取り入れて個性を表現。アドリアンさんは最初、タキシードを希望したが、紋服の着心地のよさを知り、それで通すことに。デザイナーに依頼してフランスの実家の家紋を日本の家紋風にアレンジしてもらって紋服につけるなど、こだわりが詰まった納得の正装となった。
3.時間にとらわれることなくゲストとの触れ合いを大切に
「海外からのゲストも多いので日本をたっぷり味わってもらいたい。一人ひとりとたっぷり話せる披露宴にしたいと考えました」。披露宴は、温泉地の老舗旅館を貸し切って1泊2日で。披露宴の後はふたりも浴衣に着替え、リラックスしてゲストとの交流を心ゆくまで満喫。海外ゲストはもちろん日本の友人たちからも「こんな結婚式は初めて」「本当によかった」などの声が。
挙式:金王八幡宮
披露宴:落合楼村上
プロデュース BLISS WEDDING(プランナー葉山泰子)
撮影 赤間 剛夫