【伝統文化】
神社のお参りの作法を知ろう
神社での結婚式を考えて下見にうかがう時やご挨拶にうかがう時、知っておくと戸惑わない、神社でのお参りの基本的な作法を紹介。
其ノ一 鳥居の前でおじぎ
神社は神様がいらっしゃる聖域。神様のお住まいと考えてもいいだろう。鳥居はそのお住まいの門。人の家を訪ねたら入り口で「ごめんください」と挨拶するように、鳥居の前でもご挨拶をするのが礼儀。一度立ち止まり、気持ちを静めておじぎを。鳥居近くにある神 社の由緒書にも目を留めてみよう。
其ノ二 参道の真ん中は歩かない
鳥居から社殿に向かう道を「参道」と いう。人も歩くが、神様が人間の世界に出られるための道でもある。特に参道の中央は「正中」と呼ばれ、神様の通り道。正中を避けて、左右どちらかの脇を歩くようにしよう。参道も含め、聖地である境内では大きな声でのおしゃべりは控えよう。
其ノ三 手水舎でお清め
社殿に向かう手前、参道の途中に水を貯めた水盤がある。これが手水舎(て みずや)。神様の前に向かう時に大事なことは、心身ともに清らかであること。参拝の前には必ずここによって、心を静めながら手と口をすすぐのを忘れずに。すすぎ方には作法があり、手水舎に 解説図が掲げられているところも多い。
其ノ四 鈴を鳴らし、お賽銭
拝殿の前にはお賽銭箱がある。通常の参拝はここで行う。鈴が吊されている場合は、鈴を振り鳴らし、その音で場を清める。鈴には神様にお声かけし、その力を発動していただく役目もあるといわれる。お賽銭は投げ入れるか静かに入れるか諸説あるが、神様へのお供え物の代わりとして感謝を込めて入れるようにしたい。
其ノ五 神前で手を合わせる
神社の参拝作法は「二拝二拍手一拝」。「拝」は腰を深く折る丁寧なおじぎのこと。まず息と心を落ち着けてまっすぐに立ち、二拝。次いで拍手を二回。そして一拝。この後、あらためて手を合わせて祈念する。祈り終わったら会釈をし、後ずさりながらその場を離れよう。
其ノ六 鳥居の前でおじぎ
参拝を終えたら、授与所でお札やお守りなどをいただくのもよい。そして境内で注意したいのは、草木や石などを 持ち帰らないこと。神社のなかにあるものはどれも、その神社に祀られているご祭神のものであることを忘れてはいけない。帰りは鳥居を抜けたらあらためて神様の方を振り返り、「ありがとうございました」のご挨拶を。
初出/日本の結婚式No20
文・平井かおる(日本の神道文化研究会)
イラスト・今井未知